お盆は「地獄の釜の蓋も開く」という表現をされることがあります。
諸説ありますが、現世のお盆休みと同じく、地獄の窯の番人である鬼たちも閻魔様もこの期間中だけは釜を開け放って休みをとる、といった意味合いがあるのだそう。
あの世とこの世の境界になっている「釜の蓋」が開くことで、死者の魂がこの世へ帰って来られるということなんですね。
そんな地獄の窯の蓋が開いているお盆の期間中、してはいけないタブーとして古くから言い伝えられている行為がいくつかあります。
1,むやみに殺生をしてはならない
お盆中は、釣りや虫取りなど生き物の命を奪うことにつながる娯楽はしてはいけないと言われています。
2,海や川など水辺に近づいてはならない
水辺は「三途の川」に繋がりの深い場所とされていて、お盆中は特にあの世とこの世の境界があいまいになっているため注意しなければならないといわれます。
というのも、お盆に現世に帰って来ているのは何も良い魂ばかりではないためです。
地獄に落ちた悪い魂や供養してもらえない悲しい魂が、生きている人を道連れにしようとして水の中に引き込むのだとか。
もう1つ明確な理由として、お盆時期の海はクラゲや海難事故が発生しやすいというものがあります。
3,引っ越しや入籍はできるだけ避ける
お盆は霊を供養する期間であるため、「お祝い事は避ける」といった日本ならではの風習があります。
昔は現代よりもお盆行事を盛大にとり行う家庭が多く、ご先祖様に対して精一杯のおもてなしをするために努めていました。
お盆中はお迎えの準備に忙しく、他のことはしていられなかったという意味もあったのでしょう。
地域や家系で粛々と受け継がれてきたお盆の風習。
核家族や1人暮らし世帯が多い現代では、昔のように大々的にお盆行事をとり行うことは減りましたが、
それでも「お盆といえば帰省してお墓参り」という習慣は根付いています。
コロナ禍でなかなか帰省が難しいときは、お盆の風習に習って簡易的な盆飾りやお供え物を用意し、ご先祖様への感謝を伝えてみてはいかがでしょうか。